建築中検査の重要度

建築中検査において、よくある質問についてお答えします。

それは、何の検査が重要度高いですか?という質問です。

これは端的にお答えしにくい質問ではあります。

建築中検査というのは大きく分類して、基礎・躯体・断熱・防水とするならば、どれが重要か明確に答えすることは、非常に難しいところです。

安易に基礎検査は大切で防水検査はそれほどでもありませんなどとお答えできるようなものではありません。

また、何の検査が一番指摘多いですか?という質問もありますが、こちらも現場によって違うというが実状です。

ただ、このような回答で終わってしまうと、回答になっていないと思いますので、当社なりのお答えをしたいと思います。

まず、当社の検査メニューは、下記の通りです。

①基礎配筋検査

②型枠検査

③土台敷き検査

④金物検査

⑤耐力壁検査

⑥防水紙検査

⑦断熱材検査

を基本メニューとしています。

建築中検査というのは100%検査することは難しく、100に近づけるほど検査回数が多くなり、費用が嵩んでしまうという現状があります。

当社は、2つの検査を同時にできるものは、まとめて検査するようにしていますので、数が多く見えますが、大きな分類としてはそれほどでもありません。

具体的に言いますと、④と⑤、⑥と⑦は同時に検査できることも多いため、同時に検査できる場合はまとめて検査しています。

他社においては、2つの項目を同時に行なうことはあまりやっていないようです。

2階建ての場合、比較的多い依頼ですと、①、④と⑤、⑥と⑦の3回のご依頼が多いです。

3回の検査で5つも項目がチェックできるので、他社よりもお得感があります。

ただし、3階建てとなると工程がや造り方が複雑なため、同時に検査することが難しく、検査できる範囲が限定的となるケースが多いです。

当社としては、この3回の検査はある意味必要最低限だと考えておりますが、この3つの中でも優先度が高いか質問を受けます。その場合、下記のようにお答えさせていただくことがあります。

まず新築住宅の場合、瑕疵保険の検査と建築基準法の検査があります。

これは、建築確認申請を提出した民間の検査機関と瑕疵保険会社が検査を行なう第三者の検査です。

主に、①配筋検査と④金物検査を行ない、場合によって⑥防水紙の検査を行ないます。

しかし、これらの機関が検査をした後に当社が検査することもありますが、見落としがあったり、検査対象としていない部分があったりします。

例えば、配筋検査ではかぶり厚さ(鉄筋とコンクリート表面までの距離)を検査対象としないことがありますし、金物検査ではホールダウン金物(大きな金物)だけしか検査せず、15KN未満の小さな金物を検査対象としないことがあり、細部まで検査していません。

ただ、民間の検査機関や瑕疵保険会社の第三者が検査しているのに、当社のようなインスペクター(第三者)が重複して検査することがある意味無駄と考えるならば、①配筋検査、④金物検査、⑥防水紙検査、以外の検査を入れるということもあると思います。

いうならば、検査費用を抑えたい方は、民間の検査機関や瑕疵保険会社が検査しない②型枠検査、③土台敷き検査、⑤耐力壁検査、⑦断熱材検査の中から選ぶことも考え方の一つです。

ただ、民間の検査機関や瑕疵保険会社の検査は、検査時間としては数十分で終わってしまうため、細かく検査はしておりません。

当社の④金物検査は、15KN未満の小さい金物もできる限り確認していますし、④と⑤の同時検査では柱や梁の位置を確認し構造図面と相違がないかということまで確認しています。

また、当社の建築中検査のポイントは、⑤の耐力壁検査を行なうことです。

耐力壁検査をメニューに入れている会社は少ないです。

今まで何百件と耐力壁検査をしてきましたが、耐力壁の不備は是正が大がかりとなる場合もあります。

当社としては、構造耐力上重要な部分である耐力壁検査がメニューに無いというのは信じられません。

念のため、各検査項目を確認していきます。

①基礎配筋検査

通常、瑕疵保険の検査でも実施しますが、かぶり厚さの確認やホールダウン金物の位置などは検査してくれない場合が多い。当社においては、かぶり厚さは建築基準法でも定められているため、確認はさせていただいています。

②型枠検査

コンクリートを流し込む直前のため、重要な検査だと考えます。

③土台敷き検査

こちらは予算がある場合においては、おすすめさせていただいています。

瑕疵保険の検査で土台敷き検査を行なうことはないので、配筋検査の代わりに行うことも有効的かもしれません。

④金物検査

通常、瑕疵保険の検査でも実施しますが、確認するのは大きなホールダウン金物の呼ばれる金物だけでです。

金物には、構造計画にもよりますが、大きな金物は1~2割程度を占めて、小さな金物は8~9割という場合が多いですが、瑕疵保険の検査では、その1~2割程度しか検査しないということがほとんどです。

小さな金物までチェックしてもらいたい場合は、インスペクターに依頼した方がいいです。

⑤耐力壁検査

通常、耐力壁検査を標準メニューで行っているインスペクション会社は少ないです。

また、瑕疵保険の検査でもこちらは確認しません。

構造耐力上重要な部分でもありますので、優先順位は高いかもしれません。

⑥断熱材検査

瑕疵保険の検査では検査しません。

一言で断熱材検査と言っても、壁と天井もあるため、それらの部位を同時に検査できるか確認することが必要です。壁と天井の断熱材は工程上、同時に検査できないことがあります。

⑦防水紙検査

瑕疵保険検査で実施する場合がありますので、建設会社に確認の上、検査するかどうか判断していただけたらと思います。

もし、防水検査を民間の検査機関や瑕疵保険会社で防水紙検査で実施する場合、優先順位としては低いかもしれません。

当社の建築中検査の特徴としては、下記5つが挙げられます。

①1回4万4000円から比較的リーズナブルに始めることができます。

②同時に検査できる場合は、極力まとめて検査することができます。

これは、他社ではあまり対応していないと思います。

③コスパがいい。

上記②の通り、検査をまとめて行うことがあり、5つの検査項目を4回分程度の費用で行うことができる。

④他社では基本メニューにはない耐力壁検査を行なっている。

⑤必要と考える検査を取捨選択できる。

他社においては検査項目があらかじめ決まっている場合もあります。

いかがだったでしょか?

文字だけで把握するのは難しいと思いますが、ニュアンスをくみ取っていただけたらと思います。

最後に。

昔、あるインスペクション会社が、抜き打ち検査と称して検査を行なっている会社がありました。

私がインスペクションの経験が浅い時は、とても魅力的だと思ったのですが、経験を積んでいくと効果的でないことが分かりました。

なぜならば、建築中検査というのは、しっかりと目的を持って検査し、工程がすべて終わって検査するからこそ効果的だからです。

抜き打ち検査というと一般の方は惹き付けられてしまうかもしれませんが、半端な工程の時に検査に行っても半端な検査で終わってしまうことが想像できます。

ご相談者様の中には、建築中に不安になり、とにかく早く来てほしいという方もいますが、当社は現場の状況を確認させていただき、しっかりとご説明をした上で伺うようにしております。

中には、そういった説明もなく、ご依頼者様の言いなりに検査に行くインスペクション会社もあるかと思います。

的外れな時期に現場へ行っても的確な検査ができないのでご注意ください。

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