微動探査という業務を開始します。
ホームインスペクションを専門とした会社では初の導入だと認識しています。
微動探査は、耐震性能を微動計で実測し評価するサービスです。
弊社は今まで、ホームページの問い合わせや報告の場で「この家の耐震性は大丈夫ですか?」「新築ですが耐震調査はできますか?」という質問をあらゆる場面で数多く受けました。
しかし、新築インスペクションや築浅のインスペクションでは耐震性は分かりませんとお答えしていました。
基礎や土台・壁・敷地の周辺にひび割れがあったり、建物に多少のゆがみがあるからと言って耐震性が劣っているとは判断できないためです。
これは、どのホームインスペクション会社でも同じです。
中古住宅であれば既存建築物耐震診断というものがありますが、この耐震診断は基本的に2000年以前の住宅が対象であるため、2000年以降の比較的新しい建物の耐震性は、具体的にお答えができませんでした。また、耐震改修補助制度も築浅の住宅には支援対象とならないため使えません。(詳しくは市政情報を確認いただけたらと思います。)
耐震診断については、こちらの記事から概要をご確認ください。
そのような質問を受ける中、どうにかして新築でも耐震性がわかるようなものは無いか考えていました。
そんな時に、微動探査の情報に出会いました。
この微動探査は、人間には感じない微動を計測することで建物の耐震性をチェックできるというものです。
これを使用すれば、木造の階数としては平屋建て~3階建てで使用ができ、新築・中古を問わずに耐震性能が分かる機械なのです。
では、微動探査で何ができるか具体的にみていきます。
1、設計で見込んだ耐震等級が発揮されているかチェックできる。
耐震等級とは、簡単に説明すると新築住宅における耐震性の指標で耐震等級1~3があります。
耐震等級3は一番耐震性があり、次に耐震等級2となります。
耐震等級1というのは、建築基準法で定められたもので、大地震が発生しても建物は倒壊させないよう最低限人命を守る耐震性を示します。
注文住宅であれば、設計段階から耐震等級はいくつであるか打ち合わせをして設計を進めますが、耐震等級は構造計算書による机上の計算であるため、出来上がった新築住宅の耐震性能を調べることは特殊で一般的ではありませんでした。
しかし、この機械によって一般的になっていくと考えています。
現場でいい加減な工事をされたら、見込んだ耐震性能が発揮しているか分かりません。
建築中に微動計で計測をすれば、目標とした耐震等級が確保されているかチェックできます。
万一、設計で見込んだ耐震性能が建築中で発揮できていないと分かれば、原因も分かりますし安全対策することも比較的簡単で見直しが可能です。
耐震等級を3にするためには工事費が掛かるため、お施主様はわざわざ工事金額を多く払って耐震等級を上げている場合もあります。
この機器で耐震性能をチェックできるのです。
2、新築時に計測しておけば耐震性能が劣化していないか分かる。
どんな建物も年月が経てば劣化をしていきます。
新築時には耐震設計で見込んだ耐震性能があったとしても、数十年経過したら新築時の耐震性能を発揮しているとは限りません。
もし、新築時に微動探査をしていたら数年後の数値と比較検討ができます。
新築時でなくとも、初期段階で測っておけば将来の数値と比較でき判断できます。
これが微動探査をおこなう重要な意義だと思っていますし、微動探査を行う必要性と考えています。
3、耐震補強の前後で計測すれば、耐震性が上がったか確認できる。
中古物件の場合、物件購入する前にその家の耐震性能をチェックすることができます。
中古物件は、耐震診断がありますが診断方法によっては図面と現場を目視で確認して判断してしているため、耐震診断者の判断や知識よって異なる値が出ることも可能性としてあります。
しかし、この微動探査は正しく設置すれば測定者によって大きく数値が異なるようなことはありません。
もし、耐震補強をすることであれば、補強の前後で微動探査をすれば、補強後に耐震性が上がったのか数値確認することができます。耐震改修工事費や補強計画経費にはじめから微動探査の費用を見込んだおいたら良いと思います。
この微動探査では、建物の重心と剛心もチェックすることができるため、どこを補強したらよい重点が分かります。
4、大地震が起きた時、この家に住み続けられるか判断できる。
現在、南海トラフ地震や首都直下型地震について、震度6以上が30年以内に70~80%の確率で来ると予測されています。
もし、これらのような地震が来て家が倒壊しなかったらひとまずは安心でしょう。
災害時にその建物が危険があるのか判断するものとして応急危険度判定というものもありますが、あくまでも危険度を判定したり被害状況を確認しているものであって、その先、対象建築物に住み続けられるかどうか判定するものではありません。
そんな時、微動探査によって住み続けられるかどうかチェックできます。また、実際に古民家のような様式の住宅は数値が低いことがあります。
5、国立の研究機関が解析した結果が受け取れます。
耐震診断は、図面の有無などによっても異なりますが、診断した建築士によって数値が変わる場合もあります。要は耐震診断は建物細部を目視確認できないような箇所については安全側で判断することもあるためです。
一方、微動探査のデータ解析は、国立研究開発法人 防災科学技術研究所が行います。
また、機械を正しく設置して測定すれば、建築士の判断や想定によって数値が大きく変わるようなことはありません。
国の研究機関がデータを解析するというのは信頼感があります。
6、地盤も調査ができる。
大地震において、建物と地盤が共振してしまうことが一番怖いと言われています。
建物が共振してしまうと建物が大きく揺さぶられてしまうということで、熊本地震や能登半島地震における倒壊状況を確認しても分かっております。
一般的に、住宅における地盤調査はSWS試験やボーリング試験が採用されますが、こちらは主に杭が必要かどうか判断する試験です。
微動探査を実施することによって、地盤の揺れやすさが分かり、建物と地盤が共振しやすいか調べます。
また、SWS試験やボーリング試験に加えて微動探査も行うことによってより地盤の特性がより一層分かります。
7、交通振動などの影響が分かります。
今まで交通振動に関するご相談がありました。
幹線道路は近くにないけど大きなトラックが通る時、建物が揺れるといった相談です。
しかし、住宅診断だけでは交通振動に関する判断やお答えは明確にできませんでした。
交通振動の影響があるか微動探査で計測することによって、これから新築する人が制震装置(制震ダンパー)の取り付けを行うか判断することもできます。
また、今住んでいる家がどの程度、交通振動があるか影響が分かります。
今までは、ホームインスペクションでは限られた範囲しか分かりませんでしたが、この機械によって、色々なご要望にお応えできると思っております。
計測時間は、建物を傷つけたりせず1時間程度で終わることも魅力的です。
- これから購入する家の耐震性を確認したい。
- 現在住んでいる家の耐震性を確認したい。
- 耐震等級3と聞いて住宅購入けど本当か?
- 耐震等級は1だけどそれを下回っていないか?
- 竣工してしまったが、しっかり施工がされたか耐震性が心配。
- 耐震補強をしたので耐震性があるか確認したい。
- 大きな地震があったけど、このまま住み続けても大丈夫か?
- 交通振動に悩まされている。
微動探査については、お気軽にご相談いただけたらと思います。
ご注意
同サービスは新築、既存住宅における耐震性能の目安を確認するものです。
同サービス及び係る補強設計・施工等を行ったことによる、建物の耐震性能等を担保するものではございません。また、「耐震診断」ではございません。
同サービスは地震その他の自然災害や、責めを負うべき第三者の瑕疵による家屋の損傷、倒壊などの被害がない、またはあることを保証するものではなく、同サービスの利用により損害等が発生した際における補償はいたしません。